診療案内

海南病院脳神経外科では、丁寧な説明と同意の基で、積極的かつ確実な医療を24時間いつでも提供できるよう、日々努力しています。脳神経外科では、重篤で緊急性が非常に高い疾患を扱うことが多いことから、当院では最新の知見と設備を駆使した、最高水準の医療を提供できる体制をこれまでに構築して参りました。特に繊細な臓器である脳を扱う脳神経外科の手術では、脳の持つ高次機能に十分配慮した治療が求められます。かねてより当院では、患者さんへの負担を極力減らした低侵襲な手術方法を積極的に取り入れており、加えて最新の神経科学の知見に基づいた適切な治療法の選択で、脳機能の保護を目指しています。
地域の予防医療として脳ドックに力を入れており、脳卒中を未然に防ぐ努力を重ねております。患者さんの多い難治性・慢性の頭痛については、専門の頭痛外来を設けて積極的な治療を心がけています。

脳卒中センター

当院では、脳卒中診療の更なる充実を目指し、2011年4月より脳卒中センターの運用を開始いたしました。日中はもちろん、夜間緊急搬送された脳卒中患者さんにより一層迅速な専門的治療を受けていただけるよう体制整備を行っています。脳梗塞の場合、発症4時間半以内の超急性期であれば原則として薬剤による血栓溶解療法の適応となります。さらに様々な条件により血栓溶解療法の適応から外れた場合でも、発症8時間以内であればカテーテル治療による血栓除去術を行うことが可能です。また、くも膜下出血や脳出血などの出血性脳卒中では、発症直後より厳重な全身管理を行うとともに、病態に応じて積極的に緊急手術を行っています。
海南病院脳卒中センターでは、これらの急迫した状態に対応するため、脳神経外科と脳神経内科の医師がチームとなって情報を共有し、脳卒中と診断された場合には迅速に超急性期治療を開始します。当センターには日本脳卒中学会専門医・指導医が常時在籍しており、最新のエビデンスに基づいた適切な治療法の選択を行っています。超急性期を脱した段階で、脳神経外科と脳神経内科の合同カンファレンスを行い、さらなる追加治療を検討し、早期のリハビリテーションへとつなげて参ります。

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対象疾患

主な疾患と治療法
脳腫瘍

脳腫瘍には多くの種類がありますが、神経膠腫・悪性リンパ腫・転移性脳腫瘍など、成⾧速度が極めて速く浸潤性のもの(悪性脳腫瘍)と、髄膜腫・聴神経腫瘍・下垂体腫瘍など比較的成⾧速度の遅く圧排性のもの(良性脳腫瘍)に大別されます。脳腫瘍の治療は手術・化学療法・放射線治療の3つが柱となり、腫瘍の種類や場所によって適切に選択し、組み合わせて治療を行います。

(1)手術

脳腫瘍の手術では、神経症状の改善と再発防止のために可能な限り多くの腫瘍を取り除きつつ、術後に麻痺などの神経症状を残さないように脳機能を温存するという、相反することを行う必要があります。当院では手術中の脳機能をリアルタイムに測定しながら(術中脳波モニタリング)、重要な部分は直接脳・神経を電気刺激(運動誘発電位、体性感覚誘発電位、聴性脳幹反応、脳神経モニタリング等)することによって、脳機能温存を常に確認しながら手術を行っています。こうした電気生理学的モニタリングの手法は通常難易度が高く、術者の習熟を要するものですが、当院では2006年度から臨床検査技術科と共同して、安定した術中モニタリングの成績を挙げています。
近年では、こうした電気生理学的モニタリングの手法をさらに応用し、覚醒下手術による脳腫瘍摘出も行っています。覚醒下手術では一度全身麻酔をかけた患者さんを脳表が露出してから再度目覚めさせ、意識のある状態で患者さんの脳を直接電気刺激して、その方にとって大事な機能を担う脳の部分を見つけ出し(マッピング)、温存しながら、可能な限り最大限度の脳腫瘍を摘出する手術方法です。覚醒下手術を行うことで、従来は摘出ができなかった言語野(言葉をつかさどる脳の部分)や運動野(運動をつかさどる脳の部分)の近くにある脳腫瘍も、術後に失語症や麻痺などの後遺症を残すことなく摘出することが出来ます。悪性神経膠腫では、光線力学的診断も併用し、腫瘍残存を低減させています。
脳腫瘍の中には、脳の一番奥にあるため通常の手術方法では摘出が困難な、頭蓋底腫瘍と呼ばれるものがあります。頭蓋底腫瘍には髄膜腫・聴神経腫瘍・頭蓋咽頭腫・脊索腫・下垂体腺腫などが含まれ、摘出には高い技術が要求されることが多いのですが、当院では頭蓋底腫瘍を専門とする医師も在籍しており難易度の高い頭蓋底腫瘍の対応が可能です。更に近年、神経内視鏡の技術を取り入れることで頭蓋底腫瘍を低侵襲に、患者さんの体への負担を極力少なくした形で摘出できる体制も整えました。神経内視鏡は、特に下垂体腺腫、頭蓋咽頭腫や脳室内腫瘍などに有効です。

(2)化学療法

抗腫瘍薬を用いて脳腫瘍の治療を行います。摘出術あるいは生検術(一部分だけ試験的に切除すること)によって脳腫瘍の種類を決定し、適切な抗腫瘍薬を選択したうえで治療を行います。手術で脳内に化学療法薬剤を留置する場合もあります。

(3)放射線治療

脳腫瘍の摘出術および生検術後の放射線治療は、当院で施行可能です。また、近年適応の広がっている定位的放射線治療(ガンマナイフ、サイバーナイフなど)が必要と判断された場合には、速やかに施行可能な連携施設に紹介させて頂いております。

脳血管障害

くも膜下出血、脳出血、脳梗塞が主な疾患であり、多くは救急搬送により受診されます。海南病院救命救急センターは脳神経外科医と24時間速やかに連携可能であり、脳卒中センターを中心に、集中治療部(ICU)・手術センターと協力、緊急手術も含めた万全の体制が整っております。

(1)くも膜下出血と脳動脈瘤

多くの場合、脳動脈瘤の破裂が原因です。出血の程度によって様々に重症度が変化します。発症時は比較的軽症であっても、再度出血すると急変・致命的となり得るので、迅速な対応が必要です。再出血予防の為の治療には開頭クリッピング術とカテーテル手術(コイル塞栓術)がありますが、患者さんごとに適切な方法を選択しています。当院ではどちらも24時間施行可能な体制となっています。動脈瘤の位置によっては、母血管の遮断を要することがありますが、高流量バイパス術などの高難度手術も対応可能です。脳動静脈奇形が出血の原因の場合は、精密検査を経て、待機的治療を行います。
脳ドック(後述)や外来の検査で未破裂脳動脈瘤が見つかった際は、精密検査と慎重に経過観察を行い、破裂(=くも膜下出血)の危険性が高まれば、十分なモニタリング下に破裂予防の手術を行っております。

(2)脳出血

重症度と出血の場所によって、手術あるいは保存的治療を選択することになります。患者さんの状態に応じて、開頭手術か、より低侵襲な内視鏡手術かを決定します。また、脳出血の原因となる脳血管疾患(脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻など)が隠れていることがあり、こうした複雑な脳出血に対応するためには詳細な検査が必要ですが、当院では放射線技術科との綿密な連携により、脳血管の精密な検査を24時間いつでも緊急で行うことが可能な体制となっております。脳出血でモヤモヤ病(後述)が見つかる場合もあり、その治療も待機的に行います。

(3)脳梗塞

脳の血管が閉塞し、血流が途絶えることで発症します。その原因は様々ですが、発症4時間半以内の超急性期には血栓溶解療法の適応があります。4時間半を越えた場合でも、脳血管内手術(血栓回収療法)によって回復の可能性があると判断されたケースには積極的に治療を検討し、必要な場合には24時間いつでも手術可能な体制をとっております。また、脳梗塞の原因が主幹動脈の狭窄や閉塞による慢性的な脳の血行不全のことがあります。このような症例に対しては脳の血流を改善するために、脳血管に対しては、血管吻合術(バイパス術)や経皮的脳血管形成術(カテーテルによるバルーンを用いた血管拡張術)、頚動脈の狭窄病変に対しては、頚動脈内膜剥離術やステントを用いたカテーテルによる血管形成術を積極的に行っており、難易度が高く熟練を要する脳深部バイパスや高位頚動脈病変にも対応可能など、脳卒中指導医・専門医の元、豊富な経験を有しております。
モヤモヤ病は、脳の主幹動脈が閉塞し代わりに異常血管(モヤモヤ血管)が増殖していく、日本人に多い疾患ですが、幼少時から高齢者まで脳梗塞や脳出血を起こしやすいことが知られています。モヤモヤ血管の負担を減らし、脳血流を改善するために、血管吻合術(バイパス術)や間接的血行再建術を行うことが一般的です。こうした手術は通常のバイパス術よりもより繊細な操作を要しますが、当院で対応が可能です。

脳血管障害ではいずれの病態においてもできるだけ早期よりリハビリテーションを進め、当院地域医療連携センターによる丁寧な退院支援により、周辺地域の回復期病院でのリハビリテーションやスムーズな社会復帰・家庭復帰が果たせるように努めています。

機能的脳神経外科

近年の脳科学の進歩により複雑な脳機能の解明が進み、従来は外科治療が不可能と考えられていた脳神経疾患についても外科手術で治療が可能となって来ています。こうした脳機能の改善を目的とした治療を機能的脳神経外科と呼び、海南病院脳神経外科でも勢力的に取り組んでいます。

(1)てんかん外科

てんかんは100人に0.5~1人(0.5~1%)、日本では65~90万人の患者さんがいるといわれる患者人口の多い脳神経疾患の1つです。てんかんの治療は抗てんかん薬の内服が原則ですが、てんかん患者さんのうち約30%は抗てんかん薬による治療では十分な発作抑制(てんかん発作を止めること)に至らないとされ、こうしたてんかんを難治てんかんと呼びます。難治てんかんに対しては手術による治療(てんかん外科手術)が有効であることが知られており、2種類の抗てんかん薬で1年治療しても発作抑制に至らない場合は早期の手術が推奨・検討されます。当院にはてんかん外科治療を専門とする医師が在籍しており、難治てんかんに対する外科治療が可能です。選択的扁桃体海馬切除術、焦点切除術、大脳半球離断術、脳梁離断術、迷走神経刺激療法など各種のてんかん外科治療に対応可能ですので是非ご相談ください。

(2)顔面けいれん、三叉神経痛

脳血管の一部が顔面神経や三叉神経を圧迫刺激することにより発症すると考えられています。手術は原因血管を同定して神経から剥離し移動させる微小血管減圧術によって行います。また、内服で効果がなく、手術が困難な顔面けいれんの症例には、ボツリヌス毒素療法など体に負担のかからない治療も施行可能ですのでご相談ください。

脊髄外科

脳から連続する中枢神経である脊髄の疾患も、脳神経外科で治療しています。脊椎骨の変形や靱帯の肥厚・骨化、椎間板のヘルニアによって脊髄や神経が圧迫され、しびれ・痛み・脱力などの症状が起きます。当院では筋・骨の機能を温存する方法で、高性能顕微鏡下に手術を行っており、術後の痛みや脊椎の変形を防ぎながら最良の結果を得ています(筋層構築的棘突起椎弓形成術、経椎体術前方選択的除圧術など)。ナビゲーション下の頚椎・腰椎固定術、繊細な操作を要求される脊髄髄内腫瘍摘出術、脊髄空洞症に対する手術も行っています。

頭部外傷

硬膜外血腫・硬膜下血腫・脳挫傷などに対して、24時間体制で対応できるよう体制を整え、他科や集中治療部とも協力の上、必要に応じ迅速な手術が施行できるよう体制を整えております。転んで頭を打った、学校で友達にぶつかったなどの軽症なものに対しても、できる限り対応できる体制をとっておりますので、必要に応じご相談ください。

脳ドック

脳神経疾患、特に脳卒中の予防の観点から、当院では健康管理センターにおいて、脳ドックにも積極的に取り組んでいます。この際に発見された未破裂脳動脈瘤はくも膜下出血の原因となり得ますし、血管の狭窄は脳梗塞の原因となることがあります。これらの病態を発症前にいち早く発見し、充分かつ丁寧な説明と同意の上で、開頭手術・脳血管内手術・薬剤による脳卒中危険因子の治療などを組み合わせ、適切な治療を提供できるよう努めております。

その他の疾患
慢性頭痛

慢性の難治性頭痛につきましては専門外来を設け、積極的に対応させて頂いております。

脳脊髄液減少症

軽微な外傷をきっかけに慢性頭痛が発症するもので、治療困難なことが多いものの、脊髄硬膜外自家血パッチが有効な場合があることが知られています。治療の適応があるか、十分な精査の上で診断致しますので、ご相談下さい。

特発性正常圧水頭症

治療可能な認知症として近年話題になりました特発性正常圧水頭症に対しても、髄液排出試験(タップテスト)などで手術適応ありと判断された場合には、シャント手術を検討します。

診療実績

  平成28年度 平成29年度 平成30年度 令和元年度
脳動脈瘤開頭手術
(破裂)
(未破裂)
49
(23)
(26)
67
(22)
(45)
51
(18)
(33)
50
(19)
(31)
脳腫瘍手術 26 36 33 38
脳動静脈奇形手術 1 1 0 3
頭蓋内外バイパス 14 14 8 10
脳出血手術 25 16 12 11
外傷開頭手術 20 5 5 8
水頭症手術 29 27 21 15
脳動脈瘤塞栓手術
(破裂)
(未破裂)
14
(4)
(10)
20
(11)
(9)
10
(3)
(7)
17
(3)
(14)
血管内血管形成術
(頸動脈ステント)
(頭蓋内PTA)
(その他)
36
(22)
(9)
(5)
21
(15)
(3)
(3)
22
(14)
(5)
(3)
15
(11)
(4)
(0)
急性期経皮的血栓除去 6 9 19 14
頸動脈内膜剥離術 11 29 18 15
穿孔洗浄術 59 60 81 61
神経血管減圧術 4 5 7 3
その他 41 59 39 35
総数 329 360 326 295

スタッフ紹介

岡田 健

おかだ たけし

副院長 兼
医療安全管理部長 兼
脳卒中センター 兼
脳神経外科代表部長

  1. 脳神経外科一般
    脳腫瘍、頭蓋底外科
    頭痛
  1. 日本脳神経外科学会 専門医
    日本脳卒中外科学会 技術指導医
    臨床研修指導医

遠藤 乙音

えんどう おとね

第一脳神経外科部長

  1. 脳神経外科一般
    機能的脳神経外科
    脳血管障害
    脊椎外科
    てんかん
    脳腫瘍
  1. 日本脳神経外科学会 専門医
    日本脳卒中学会 専門医
    臨床研修指導医

藤井 健太郎

ふじい けんたろう

第二脳神経外科部長

  1. 脳神経外科一般
    小開頭手術
  1. 日本脳神経外科学会 専門医
    臨床研修指導医
                 

石﨑 友崇

いしざき ともたか

脳神経外科医長

  1. 脳神経外科一般
    脳腫瘍
    てんかん外科
    神経内視鏡手術
    頭蓋底外科
    機能的脳神経外科
  1. 日本脳神経外科学会 専門医
    日本定位・機能神経外科学会 機能的定位脳手術技術認定医

水谷 高輔

みずたに こうすけ

医員

  1. 脳神経外科一般

近藤 正規

こんどう まさき

医員

  1. 脳神経外科一般

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