平成25年9月に救命救急センターに指定されてから救急車の年間受け入れ台数は増加傾向にあり、令和5年度には10,000台/年を越えました。当院の救急診療体制はER型であり、軽症から重症まで受け入れてトリアージを行い、必要に応じて専門診療科へバトンタッチする体制をとっています。診療各科はもちろん看護師や診療放射線技師、医療事務など職種を超えたチームワークを確立し、三次救急患者さんだけでなく小児・周産期救急疾患にも対応しています。
基本方針
- 救命救急センターとして24時間最良の救急医療が提供できる体制を整え、安全に高度な救急医療に対応することにより地域に貢献する
- 診療各科との協力体制のもと、救急搬送患者さん、時間外に来院する患者さん、病診・疾病連携による救急紹介患者さんを可能な限り受け入れる
- 三次救急患者さんを積極的に受け入れ、小児・周産期救急疾患についても対応する
研修医教育
当院は臨床研修病院であり、救急科のローテーションは必須となっています。救急外来の主役は研修医の先生方でありますが、安全・安心な医療を提供するためにJATECやICLSなどシミュレーション教育はもちろん、実際の臨床現場で気管挿管、胸骨圧迫、除細動、胸腔ドレーン留置、創傷処置(局所麻酔・縫合)、骨折の固定などを上級医の指導のもと積極的に行ってもらい日々研鑽を積んでいます。令和6年度からは救急専従医が3名となり、充実した研修医教育体制に取り組んでいきます。また、令和4年度からは近隣の消防の協力を得て、救急車への同乗実習を開始しました。病院前救急の現場活動を体験し、より幅広い視野に立った診療に取り組んでいます。
診療実績
令和5年度の救急車の搬送は10,278台と初めて10,000台を越えた。救急要請件数は非常に多かったが、新型コロナウイルス関連による不応需は減り、応需率は91.4%と令和4年度よりも改善した。ドクターカーの出動件数は106件であった。救急受診患者の症例区分の内訳は表1のとおりであった。救急搬送患者の入院率は39.5%と例年通りであった。
症例区分 | 症例数 |
---|---|
心停止 | 252 |
ショック | 101 |
内因性救急疾患 | 2,658 |
外因性救急疾患 | 1,400 |
小児および特殊救急 | 161 |
救急車 | 10,278 |
救急入院患者 | 4,059 |
重症救急患者 | 735 |
ドクターカーについて
当院は他地区に先駆けて平成22年から近隣消防との密な連携のもとにドクターカーを導入しました。救急現場に医師・看護師を派遣し、より早く治療を開始することにより心筋梗塞や脳卒中、高リスク外傷などに対してこれまで多くの救命事案を経験しています。救命救急センターではドクターカーナースを継続的に育成し、消防と連携することにより地域の救急医療の充実化に尽力すべく、病院前救急診療の質向上にも努めてまいります。
ドクターカー運用
ドクターカーは、医師1名・看護師1名・救急救命士兼運転士1名の計3名体制で平日8時30分~17時00分まで運用しています。
スタッフ紹介
谷内 仁たにうち ひとし
院長補佐 兼 第4診療部長 兼 救命救急センター長 兼 救急科代表部長
- 免許取得年
- 平成5年
- 専門領域
- 救急 / 整形外科
- 専門医・指導医・認定医
- 日本専門医機構認定救急科専門医 / 日本整形外科学会 整形外科専門医 / 臨床研修指導医
急速な高齢化社会が進む中で複数の問題を抱える患者さんが増えていますが、救命救急センターでは忙しい中でも、一人一人の患者さんに寄り添い、安心・安全で丁寧な医療が提供できるよう心がけています。他職種スタッフ、消防と連携し地域住民の負託に応えられるよう診療体制の構築に取り組み、日々研鑽を積んでいまいります。
大手 裕之おおて ひろゆき
第一救急科医長
- 免許取得年
- 平成26年
- 専門領域
- 救急集中治療、感染症、IVR、一般内科学
- 専門医・指導医・認定医
- 日本救急医学会 救急科専門医 / 日本集中治療医療学会 集中治療専門医 / 日本感染症学会 感染症専門医 / 日本内科学会 認定内科医
重症、軽症に関わらず、患者さんの幅広い問題に対応できるように努めてまいります。
須網 和也すあみ かずや
第二救急科医長
- 免許取得年
- 平成28年
- 専門領域
- 救急医療
- 専門医・指導医・認定医
- 日本専門医機構認定救急科専門医
内科、外科、災害医療含めて、安全・安心を提供できるように尽力いたします。