診療案内
当科は乳腺疾患、甲状腺疾患、副腎疾患の診療を行っています。乳腺疾患は良性からがんまでの診断と治療をすべて行っています。治療はエビデンスに基づきガイドラインに沿った標準的な治療を行っています。甲状腺、副腎に関しては内科で手術適応となった症例のみ手術を行っています。当科は 名古屋大学医学部附属病院 乳腺・内分泌外科の関連病院で有り、大学からの医師派遣にて診療を行っています。患者数に対して専任の医師数が少ないため、外来はすべて予約制で行っております。外来診療は週3日、手術日は週2日の体制で診療を行っております。近年の乳がんに対する関心の高まりから外来がかなり混雑しています。できるだけお待たせすることないように注意して診療にあったています。すべての疾患の治療方針は科内で十分検討して決定していますが、判断に迷う場合には大学に相談を行っております。またセカンドオピニオンも積極的に薦めています。
主な疾患と治療法
- 乳腺良性疾患
- 乳がん
- 甲状腺がん
- 甲状腺良性腫瘤
適切な検査(マンモグラフィ、エコー、細胞診、組織診)の後、手術適応があると判断した症例に関しては手術を行っております。症例ごとに局所麻酔、全身麻酔にて行っています。乳腺良性疾患の経過観察は行っておりません。希望があれば他院を紹介させていただきます。
乳がんの治療は手術、薬物療法(抗がん剤、ホルモン剤、分子標的治療薬、CDK阻害剤など)、放射線治療を組み合わせて行います。手術は腫瘤の大きさ、部位によって全摘あるいは部分切除を行います。部分切除の場合には残存乳腺への再発予防目的で術後に放射線治療を行います。腋窩リンパ節は術中に転移があるかどうか調べて転移がない場合には郭清は省略しています。術後には薬物療法を行い再発予防につとめます。薬物療法は乳がんのタイプによって変わります。乳がんは以下の4タイプに分けられます。ルミナルA.B、トリプルネガチブ、HER2タイプ。ルミナルタイプはホルモン剤を中心に、進行度によっては抗がん剤、CDK阻害剤を追加で行います。トリプルネガチブタイプは抗がん剤になります。HER2タイプには抗HER2療法+抗がん剤になります。進行度や乳がんのタイプによっては術前に抗がん剤を行うこともあります。
甲状腺がんの治療は手術が中心になります。再発の危険度によって甲状腺全摘術、甲状腺葉切除術に分かれます。また甲状腺乳頭がんはリンパ節転移の頻度が高く頸部リンパ節郭清を行います。かなり進行した症例では術後に放射線治療を行うこともあります。放射線治療が必要と判断した症例は大学を紹介させていただきます。
悪性が疑われる症例、あるいは手術希望のある症例には病変のある甲状腺を切除します。
- バセドウ病
- 副腎疾患
最近は内科治療が中心になり手術を行う症例が減っています。手術になる症例の多くは甲状腺全摘になります。症例によっては甲状腺亜全摘を行い甲状腺機能を温存する場合もあります。
アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫に関しては、内科にて診断が確定したあと手術を行っています。手術は腹腔鏡を用いて負担の少ない手術を行っています。腫瘤が大きい場合には開腹、あるいは開胸開腹にて手術を行います。
入院の目安
区分 | 入院期間 |
---|---|
乳がん 全摘+腋窩郭清 | 7-10日 |
温存(部分切除術)+ 腋窩郭清 | 7-10日 |
全摘+センチネルリンパ節生検 | 7日 |
温存センチネルリンパ節生検 | 4-5日 |
甲状腺良性腫瘤 | 4-5日 |
甲状腺がん | 7日 |
副腎疾患 | 4-5日 |
診療実績
診療実績(全身麻酔手術のみ) | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 | 令和4年度 | 令和5年度 | |
---|---|---|---|---|---|---|
乳腺 | 77 | 93 | 84 | 77 | 90 | |
甲状腺 | 悪性 | 11 | 7 | 8 | 9 | 7 |
良性 | 2 | |||||
副甲状腺 | 2 | 1 | 0 | 1 | 3 | |
副腎 | 2 | 3 | 2 | 1 | 0 | |
合計 | 94 | 104 | 94 | 88 | 100 |
- 地域がん診療連携拠点病院
- 日本乳がん学会認定施設
- 日本内分泌外科専門医制度関連病院
- 名古屋大学医学部附属病院乳腺・内分泌外科関連病院
- 海南病院の乳腺・内分泌外科
- 電話(代表)0567-65-2511
※午前中は外来診療等にて非常に込み入っております。
※お問い合わせは、午後2時から5時の間にお願いいたします。
スタッフ
紹介
柴田 有宏しばた ありひろ
乳腺・内分泌外科代表部長
- 免許取得年
- 平成4年
- 専門領域
- 乳腺・内分泌外科
- 専門医・指導医・認定医
- 日本外科学会 外科専門医 • 指導医 / 日本乳癌学会 乳腺専門医 / 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 内分泌甲状腺外科専門医 / マンモグラフィ検診精度管理委員会 読影認定医 / 臨床研修指導医
手術に関しては安全第一で負担の少ない手術を心がけています。乳がんの治療、特に薬物療法に関しては、次々に新しい治療薬が出てきてかなり複雑になってきています。最新の情報をできるだけ得るようにし、効果の高い、標準的な最新の治療を心がけています。すべて治療において、できるだけ他科との連携を密にして安全な治療を心がけています。治療方針に関しても、科内でカンファレンスを開き、慎重に決定しています。治療方針決定が難しいときには、積極的に大学とも相談しています。
石原 博雅いしはら ひろまさ
乳腺・内分泌外科部長
- 免許取得年
- 平成19年
- 専門領域
- 乳腺・内分泌外科
- 専門医・指導医・認定医
- 日本外科学会 外科専門医 / 日本乳癌学会 乳腺認定医 ・ 専門医 / マンモグラフィ検診精度管理中央委員会 読影認定医 / 厚生労働省 麻酔科標榜医 / 日本がん治療認定医機構 がん治療認定医 / 臨床研修指導医