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ダヴィンチXiの魅力


ロボット支援手術とは

従来の腹腔鏡手術では、小さな傷からビデオカメラや手術器具を挿入して、モニター画面を見ながら手術を行うことで通常の開腹手術より低侵襲な手術が可能です。しかし、その反面、器具の操作には制限があり、画像も平面で奥行きが分からないことから、手術には高度な技術が必要であり、複雑な手術は困難でした。
これら腹腔鏡手術の弱点を克服したのがロボット支援腹腔鏡手術です。ダヴィンチを用いた手術では、身体にあけた小さな穴に"鉗子"(手術器具)を挿入、医師がハイビジョンカメラの映像を見ながら4本の腕を持ったロボットを遠隔操作して手術を行います。
da Vinci Xiの最大の改良点は、天吊りの支点から4本のアームが配置され、アームの関節が増え、可動域がより広くなったことです。 支点を中心に4本のアームが回転することにより、方向の異なるアプローチで手術が可能になります。また、アームも細くなりアーム同士の干渉が少なくなって、狭い術野でも手術が容易になりました。

4つの特徴

① 複雑に動く

手術器具の先端部分に多数の関節を備えている(従来の腹腔鏡手術では1つだけ)ことに加え、各関節の可動域は人間の手の関節以上に広いことから、複雑な操作が可能です。

② 繊細に動く

術者の手の動きと同じ動きをロボットが同時に行い(マスタースレーブ方式)、術者の細かな手の震えは伝えません。さらに、術者の動きはそのままで、その動きを小さくすることが可能で、その程度も設定で変更することができます。例えば、1/5設定だと、術者が5cm手を動かしてもロボットは1cmしか動かないため、非常に繊細な手術をすることが可能です。

③ 3D・HDビジョン動画

通常の腹腔鏡手術ではカメラが1つであり、片目だけで見ているのと同じことですので、物体の前後関係が判りにくいです。しかし「ダヴィンチ Xi」システムではカメラが2つになっており、ここから得られた画像を術者が専用の操作機から3D画像として見ることができるため、立体的な位置関係が良く分かります。

④ 2つの操作台

ロボットの操作を行うコンソール(操作台)が2台あり、2人の医師の目で手術状況を確認しながら安全な手術に努めます。また、医師の指導教育に活用可能です。

患者さんのメリット

  1. 術式によって異なりますが、1~2㎝の複数の穴から内視鏡カメラとロボットアームを挿入して手術を行うため、従来の開胸・開腹手術に比べて、傷口が小さく済みます。
  2. ロボットによる精緻な操作により、出血量が抑えられます。
  3. 傷口が小さく、出血量も大幅に抑えられるため、体の負担を軽減することができ、術後の回復が早い傾向にあります。
  4. 鉗子の正確で精密な動きによって、患部以外の正常な組織や神経を傷つけることが少なく、体の機能の温存効果を高めることが期待できます。
  5. 病変部に的確にアプローチできることに加え創部の感染も少ないため、合併症を抑えられることが期待できます。

当院での運用

「海南チームダヴィンチ」を結成

ダヴィンチによる手術では、医師はロボットの操作に専念し、多職種が患者さんやロボットの状態を確認するため、チームの連携が欠かせません。海南病院では、泌尿器科医、麻酔科医、看護師、臨床工学技士の専任スタッフで専属の手術チーム(=チームダヴィンチ)を結成し活動しています。さらに、チーム医療を重視し、病院全体で取り組むべきとの考えから、感染対策・褥瘡・医療安全の認定看護師、研修医、事務員を含むワーキンググループを開催し、安全な手術の実施に向けて検討を行っています。
当初は、泌尿器科領域のみでしたが、現在は、産婦人科領域・外科領域の手術も行っております。

ロボット支援手術の年間実績

平成25年5月からに開始した手術支援ロボット「ダヴィンチ」での前立腺全摘除術は、昨年度までに626症例行われました。
この機器は、高度医療に対応すべく導入した先端医療機器であり、前立腺全摘出術および腎部分切除術において安全な手術を行うために、医師をはじめ多職種から構成されたチームで検討を重ね、手術中のトラブルや合併症もなく、安全な治療を施行することができています。

《 年間実績 》

  R2年度 R3年度 R4年度 R5年度 R6年度
ロボット支援 前立腺摘除術 63 36 55 44 30
ロボット支援 腎部分切除術 4 16 8 12 8
ロボット支援 膀胱全摘除術 7 3 7 6 9
ロボット支援 子宮摘出術 18 12 11 14 22
ロボット支援 腎盂形成術 2 1 4 1 1
ロボット支援 膣固定術 - - - 4 11
ロボット支援 胃 - - - 8 21
ロボット支援 直腸 - - - 15 20
ロボット支援 結腸 - - - 0 2

医師からのメッセージ

当院のロボット支援手術は、医師だけでなく多職種で協力して行っています。
手術中・手術後のトラブルを防ぐために、様々な視点から検討を行い、
安全・確実で患者さんの身体に負担の少ない治療を提供いたします。
ロボットを使用した手術であっても、操作は人間の手で行いますので、心を込めて手術にあたります。

泌尿器科代表部長 窪田 裕樹

対象疾患・費用

対象疾患について

泌尿器科

現在は、平成24年4月から保険診療として認められた「前立腺がんに対する前立腺全摘術」、平成28年4月から認められた「腎がんに対する腎部分切除術」および平成30年4月から認められた「膀胱がんに対する膀胱全摘除術」において実施します。この「ダヴィンチ」システムを使って前立腺摘除術を行う方法が、ロボット支援腹腔鏡下前立腺摘除術(以下RALPと略す)です。
RALPは基本的に腹腔鏡手術ですので、傷は腹腔鏡手術と同じようになります(右図)が、手術時間や出血量・手術の効果・合併症などにおいて腹腔鏡手術より優れていることが統計学的に示されています。

「ダヴィンチ」システムを使って腎部分切除術を行う方法が、ロボット支援腎部分切除術(RAPNと略す)です。RAPNは、主に原発巣の直径4cm以下で転移巣のない腎臓がんを対象に行います。(4cm以上であってもRAPNが可能な場合もありますが、腫瘍の位置や患者さんの持病によって4cm以下でもRAPNが適していない場合もあります。)

「ダヴィンチ」システムを使って膀胱全摘除術を行う方法が、ロボット支援膀胱全摘除術(RARCと略す)です。
RARCは従来の術式に比べて、出血量が少なく術後の回復が早くなり、患者さんへの負担が少なくなることが期待されています。

産婦人科

産婦人科では、令和2年より「子宮筋腫などの良性子宮疾患における子宮摘出術」において実施しています。従来は、開腹もしくは腹腔鏡で行っていた手術を「ダ・ヴィンチ」システムを使うことで出血量が少なく患者さんへの負担が少なくなることが期待されています。
また令和5年より骨盤臓器脱(子宮脱)に対するロボット支援下仙骨膣固定術を実施しています。これは従来の膣式のみでの手術よりも臓器脱の再発が低下するといわれております。


外科

現在当科では「食道胃接合部癌を含めた胃癌」、「直腸癌」、「結腸癌」に対してロボット支援下手術を行っています。これまで行われてきた開腹手術、腹腔鏡下手術に比べて「拡大視効果」、「手振れ補正機能」、「鉗子の多関節機能」により、正確で緻密な手術が安全に行うことができるとされています。これにより、合併症が減少します。さらには手術による癌の治療効果の向上が期待できます。詳しくは当科のホームページをご覧ください。

費用・入院期間

①前立腺がんに対する前立腺全摘除術
入院・手術にかかる費用

支払いの目安(概算)
約75,000~270,000円(※)

※限度額適用認定証を利用した場合の目安です。認定証については"入院のご案内(リーフレット)"もしくは当院医事課へお問い合わせください。

入院期間

通常は、手術の1~2日前に入院していただきます。術後は、8~10日くらいで退院できます。おおよその入院期間は、合併症が起こった場合は除きますが、約2週間弱となります。

②腎がんに対する腎部分切除
入院・手術にかかる費用

支払いの目安(概算)
約75,000~270,000円(※)

※限度額適用認定証を利用した場合の目安です。認定証については"入院のご案内(リーフレット)"もしくは当院医事課へお問い合わせください。

入院期間

通常は、手術の1~2日前に入院していただきます。術後は、8~10日くらいで退院できます。おおよその入院期間は、合併症が起こった場合は除きますが、約2週間弱となります。

③膀胱がんに対する膀胱全摘除術
入院・手術にかかる費用

支払いの目安(概算)
約95,000~300,000円(※)

※限度額適用認定証を利用した場合の目安です。認定証については"入院のご案内(リーフレット)"もしくは当院医事課へお問い合わせください。

入院期間

通常は、手術の2~3日前に入院していただきます。術後は、15~20日くらいで退院できます。おおよその入院期間は、合併症が起こった場合は除きますが、約4週間弱となります。

④子宮良性疾患に対する子宮全摘術
入院・手術にかかる費用

支払いの目安(概算)
約70,000~270,000円(※)

※限度額適用認定証を利用した場合の目安です。認定証については"入院のご案内(リーフレット)"もしくは当院医事課へお問い合わせください。

入院期間

通常は、手術の前日に入院していただきます。術後は4日目に退院の予定です。おおよその入院期間は約1週間ですが、合併症がおこった場合はこの限りではありません。

⑤骨盤臓器脱(子宮脱)に対する仙骨膣固定術
入院・手術にかかる費用

支払いの目安(概算)
約70,000~270,000円(※)

※限度額適用認定証を利用した場合の目安です。認定証については"入院のご案内(リーフレット)"もしくは当院医事課へお問い合わせください。

入院期間

通常は、手術の前日に入院していただきます。術後は4日目に退院の予定です。おおよその入院期間は約1週間ですが、合併症がおこった場合はこの限りではありません。

⑥胃癌(食道胃接合部癌を含む)に対する胃全摘術/噴門側胃切除術/幽門側胃切除術
入院・手術にかかる費用

支払いの目安(概算)
約80,000~280,000円(※)

※限度額適用認定証を利用した場合の目安です。認定証については"入院のご案内(リーフレット)"もしくは当院医事課へお問い合わせください。

入院期間

通常は、手術の前日に入院していただきます。術後は12日目に退院の予定です。おおよその入院期間は約2週間ですが、合併症がおこった場合はこの限りではありません。

⑦直腸癌に対する直腸高位前方切除術
入院・手術にかかる費用

支払いの目安(概算)
約80,000~280,000円(※)

※限度額適用認定証を利用した場合の目安です。認定証については"入院のご案内(リーフレット)"もしくは当院医事課へお問い合わせください。

入院期間

通常は、手術の2日前に入院していただきます。術後は12日目に退院の予定です。おおよその入院期間は約2週間ですが、合併症がおこった場合はこの限りではありません。

⑧直腸癌に対する直腸低位前方切除術/結腸切除術
入院・手術にかかる費用

支払いの目安(概算)
約90,000~290,000円(※)

※限度額適用認定証を利用した場合の目安です。認定証については"入院のご案内(リーフレット)"もしくは当院医事課へお問い合わせください。

入院期間

通常は、手術の2日前に入院していただきます。術後は16日目に退院の予定です。おおよその入院期間は約18日間ですが、合併症がおこった場合はこの限りではありません。

⑨直腸癌に対する直腸切断術
入院・手術にかかる費用

支払いの目安(概算)
約90,000~290,000円(※)

※限度額適用認定証を利用した場合の目安です。認定証については"入院のご案内(リーフレット)"もしくは当院医事課へお問い合わせください。

入院期間

通常は、手術の2日前に入院していただきます。術後は18日目に退院の予定です。おおよその入院期間は約20日間ですが、合併症がおこった場合はこの限りではありません。

手術を希望される患者さんへ

ロボット支援手術(ダヴィンチXiによる手術)の相談・予約は、泌尿器科外来又は産婦人科外来、外科外来で受け付けております。手術を希望される方は、一度外来を受診してください。受診の際には、紹介状・画像などの資料を持参して頂きますとスムーズに診察を行うことができます。

よくあるご質問

従来の手術と比べてどのように違うのですか。
開腹手術と比べると傷が小さいため、傷の痛みが少なく術後の回復も早くなります。また、より繊細な手術が可能となるため、出血や尿失禁などの合併症が少なくなります。
ロボットが手術をするのですか。
ロボットが自動的に手術を行うわけではありません。医師がカメラの映像を見ながら、手術器具を取り付けたロボットアームを操作して手術を行います。
安全性はどうでしょうか。
これまでにも「ダヴィンチ」のシステムエラーの発生は僅か0.2~0.4%と極めて低く、そのことによる医療事故の報告はありません。さらに手術スタッフは、緊急時にも対応できるように訓練を積み、安全管理の徹底が図られています。
持病があってもダヴィンチで手術を受けられますか。
腹部の大きな手術を受けたことがある方や、心臓や肺が極端に悪い方などは受けられないことがあります。担当医にご相談ください。

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